病院

埼玉県立精神医療センター

【インタビュー】がま口キーホルダーをアセスメント(初期評価)としてお使いいただいている埼玉県立精神医療センターの作業療法士・宇田様にお話を伺いました。

[ 施設名称 ] 埼玉県立精神医療センター
[ 施設分類 ] 病院
[ 利用目的 ] 作業療法/リハビリ/イベント/レクリエーション/アクティビティ
[ 使用商品 ] がま口キーホルダー、パウダーアート、和紙工芸など など


埼玉県立精神医療センター 作業療法士 宇田様

これはもしかしてアセスメントに最適なのでは?とひらめいた

――宇田先生がさくらほきりを知るきっかけはなんだったのでしょうか?

私が埼玉県精神保健福祉センターに赴任した時に、当時さくらほりきりから新製品として発売された「がま口キーホルダー」を見つけたんです。
おもしろそうだな、と思いまずは自分で作ってみたところ「これはもしかしてアセスメント(初期評価)に最適なのでは?」とひらめき、それ以来今でも使い続けています。

――「アセスメント」とは聞きなれない言葉なのですが、実際にどのような形でお役に立てているのでしょうか?

初期評価をするにあたり、現実的なところ医療的な検査が主になります。しかし「検査」ということが患者様の気持ちを重くしてしまうこともあります。
特に精神科では「人から評価されること」に敏感な方が多い。
その点、がま口キーホルダーを作ることは見た目もそうだが、検査という概念をなくし、患者様の負担を大きく低減しスムーズに評価していくことができる。
測るのではなくその人を理解するためのツールなんです。

――そのような形でお使いいただけてるとは驚きました!もう少し具体的に教えていただけますでしょうか?

がま口キーホルダーに関しては以下の点がいいんです!

◎説明書が絶妙に良い
「説明書を見て作ること」から、さまざまな評価を行えます。

  • 文章で理解が出来るか
  • 図なら理解が出来るか
  • 完成見本があれば出来るか
  • 困った時に人に聞けるのか
  • 自分で考えず人に聞くのか
  • 説明書の上下や左右の関係を認知できるか
    などがあげられます。

◎2個1組ということ
1つ目はまず、説明書を見ながら作ってもらう
2つ目は再現性を確認する。
また、2つ目は担当看護の方や誰かにプレゼントして喜んでもらえることで、円満にコミュニケーションが取れるようになるという付加価値もあります。
特に精神科の治療の現場は、なかなか明るく健康的な出来事・ふれあいが少ないので本当に喜ばれます。

◎布柄を選ぶということ
どんな風に選ぶ人なのか。
じっくりと時間をかけて吟味するタイプなのか、直感ですぐに選ぶタイプなのか。
自分のために選ぶのか、それとも誰かを思い浮かべて選ぶのか。
まったく何も考えずに選ぶタイプなのか、などすべてが評価対象になります。

◎短時間で完成し、危険な道具をほぼ使わない
ボンドがはみ出しても乾けば取れるので見栄えに差がないんです。
誰にでもうまく出来上がらないと途中で嫌になってしまったり、諦めてしまうことが多いのですが、がま口キーホルダーにはそれがない。
また、逆に簡単すぎると、課題が見つけづらいこともあり「絶妙に」いいんです!

構成的な課題と反復課題、初期評価にもピッタリ

――がま口キーホルダーだけでもこんなに見る点があるのですね!ではパウダーアートはどうなんでしょうか?

がま口キーホルダーは同じ工程を繰り返す部分がないので構成的な課題になりますが、パウダーアートは同じ作業の繰り返しが多く、反復系の作業が中心になります。
反復課題を見ておきたい場合にとてもいいんです。

病気によっては3〜4工程の繰り返しができないということから
・もう一度教えれば出来るのか
・紙に書きだせばできるのか
・他の事に注意が向いた場合、どこまでやったか忘れるのか?忘れないのか?
など、反復系の作業が得意な人か、繰り返しのない作業が得意な人かを判断することができます。
得意なものを伸ばすということが大事だと思っていますので、こちらも効果的なんです。

――双方のキットにそんな価値があったとは!とても勉強になりました。

この医療センターにおいては、全ての初期評価はこの「がま口キーホルダー」と「パウダーアート」で決めています。総合的に見てもこんないいキットはない。

余談ですがかの有名な箱づくり法のように、さくらほりきり法として世の中に広まるよう検証を進める価値があると思っています。
あくまでも患者様の社会復帰が目的である為、健常のみなさんが使っている・作っている同じものでなければ意味がないと考えています。
説明書の理解度もすべて評価につながる。
だからがま口キーホルダーはなくさないでもらいたいですね。

貴重なお話を沢山いただきありがとうございました。アセスメントとしてだけではなく、リハビリとしても治療のお役にたてるキットを頑張って開発して参ります。
宇田先生、ありがとうございました。

 

後日開催された研修会でも取り上げていただきました!

この「がま口キーホルダー」を使用した研修会が、埼玉県作業療法士会のこころとくらしの地域支援推進委員会、日本作業療法士協会の精神科作業療法ワーキングチームによる主催で開催されました!
その時の様子はこちらからご覧いただけます。
>>>https://www.ot-saitama.or.jp/column/5236/

埼玉県立精神医療センター
〒362-0806 埼玉県北足立郡伊奈町小室818−2
https://www.saitama-pho.jp/seishin-c/

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